夏に花火大会が多いのはなぜ?
夏の夜空を彩る花火大会、本当に綺麗ですよね。日本では「夏=花火」というイメージがすっかり定着していますが、実はこれ、単に「暖かいから夜集まりやすい」という理由だけではないんです。
その背景には、日本の伝統的な信仰や、歴史的な大事件が深く関わっています。
1 慰霊と疫病退散(お盆との深い関わり)
一番の理由は、夏の伝統行事である「お盆」の時期の「送り火」や「慰霊(亡くなった人の魂を弔うこと)」の文化と結びついたことです。
日本で最初の本格的な花火大会と言われているのが、江戸時代の1733年に始まった「両国の川開き(現在の隅田川花火大会)」です。前年の1732年、大飢饉やコレラ(疫病)の大流行によって、江戸では多くの死者が出ました。時の将軍・徳川吉宗は、亡くなった人々への慰霊と、悪霊を追い払って疫病を退散させること(災厄除け)を願い、水神祭を行いました。その際に花火を打ち上げたのが始まりです。
川に流す「灯籠流し」や、お盆の「送り火」と同じように、「火」を使ってご先祖様や故人の霊を慰め、あの世へ送り出すという意味合いが、夏の川辺で行われる花火大会に引き継がれていきました。
2 川開きという文化
江戸時代、夏の川辺は涼を求める人々(納涼)で大変賑わいました。当時は、5月28日から8月28日までを「川開き(川遊びの解禁期間)」としており、その期間の始まり(あるいは期間中)に、景気づけや魔除けとして花火が打ち上げられるようになりました。これが「夏に花火を見る」という習慣のベースになっています。
3 気候と技術的な理由
もちろん、実用的な理由もあります。
・夜間の過ごしやすさ:昔はエアコンがありませんから、夏の夜に川風に吹かれながら涼む(納涼)のは最高の娯楽でした。そこへ花火が合わさることで、夏の定番イベントとして定着しました。
・花火が綺麗に見える条件:花火は煙がたまると見えにくくなってしまいます。夏は適度な上昇気流や風が発生しやすく、煙が流れやすいという技術的なメリットもありました。
※「たまや〜」「かぎや〜」の由来両国の川開きで花火を打ち上げていたのが、江戸の2大花火師である「玉屋(たまや)」と「鍵屋(かぎや)」です。観客が素晴らしい花火を上げた方の名前を叫んで称え合ったのが、今でも残るあの掛け声の始まりです。
このように、現代ではエンターテインメントとしての側面が強い花火大会ですが、もともとは「祈り」や「弔い」の気持ちから始まったものだったんですね。そう思うと、いつもの花火が少し違って見えてくるかもしれません。
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